め、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤の減量を検討すること。(「相互作用」、「副作用」及び「臨床成績」の項参照)
2.
糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等、糖尿病類似の症状(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意すること。
3.
本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。
4.
本剤投与中は、血糖値等を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、3カ月投与しても効果が不十分な場合には、より適切な治療法への変更を考慮すること。
5.
投与の継続中に、投与の必要がなくなる場合や、減量する必要がある場合があり、また患者の不養生、感染症の合併症等により効果がなくなったり、不十分となる場合があるので、食事摂取量、体重の推移、血糖値に留意の上、常に投与継続の可否、投与量、薬剤の選択等に注意すること。
6.
本剤投与により、血清クレアチニンの上昇又はeGFRの低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査するとともに、腎機能障害患者における治療にあたっては経過を十分に観察すること。
7.
尿路感染及び性器感染を起こすことがあるので、症状及びその対処方法について患者に説明すること。また、腎盂腎炎等の重篤な感染症を起こすおそれがあるので、十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮すること。(「副作用」の項参照)
8.
本剤の利尿作用により多尿・頻尿がみられることがある。また、体液量が減少することがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に行うこと。脱水、血圧低下等の異常が認められた場合は、休薬や補液等の適切な処置を行うこと。体液量減少を起こしやすい患者(高齢者や利尿剤併用患者等)においては、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること。(「相互作用」及び「高齢者への投与」の項参照)
9.
本剤の作用機序により、血糖コントロールが良好であっても尿中ケトン体陽性又は血中ケトン体増加がみられることがある。患者の症状、血糖値等の臨床検査値を確認し、インスリンの作用不足によるケトン体増加と区別して糖尿病の状態を総合的に判断すること。
10.
インスリン分泌能が低下している患者では、糖尿病性ケトアシドーシスの発現に注意すること。
11.
排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、その治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること。
12.
本剤投与による体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意すること。
13.
低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。
14.
本剤とインスリン製剤、GLP-1受容体作動薬との併用における有効性及び安全性は検討されていない。
相互作用
相互作用の概略
本剤は主としてUGT2B7によるグルクロン酸抱合代謝を受ける。(「薬物動態」の項参照)
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
糖尿病用薬
インスリン製剤、スルホニルウレア剤、チアゾリジン系薬剤、ビグアナイド系薬剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、速効型インスリン分泌促進剤、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害剤等
臨床症状・措置方法
糖尿病用薬との併用時には、低血糖の発現に注意すること。特に、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。これらの薬剤による低血糖のリスクを軽減するため、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤の減量を検討すること。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合には、ブドウ糖を投与すること。
機序・危険因子
糖尿病用薬(特に、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤)との併用時には、本剤の血糖コントロール改善により、低血糖のリスクが増加するおそれがある。
薬剤名等
血糖降下作用を増強する薬剤
β-遮断薬、サリチル酸剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、フィブラート系薬剤等
臨床症状・措置方法
上記薬剤と本剤を併用する場合には、血糖降下作用の増強によりさらに血糖が低下する可能性があるため、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序・危険因子
上記薬剤との併用により血糖降下作用が増強されるおそれがある。
薬剤名等
血糖降下作用を減弱する薬剤
副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等
臨床症状・措置方法
上記薬剤と本剤を併用する場合には、血糖降下作用の減弱により血糖が上昇する可能性があるため、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序・危険因子
上記薬剤との併用により血糖降下作用が減弱されるおそれがある。
薬剤名等
利尿作用を有する薬剤
ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬等
臨床症状・措置方法
上記薬剤と本剤の併用により、利尿作用が過剰にみられるおそれがあるため、必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること。
機序・危険因子
上記薬剤との併用により利尿作用が増強されるおそれがある。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時までの国内の臨床試験では、1,669例中549例(32.9%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は頻尿149例(8.9%)、口渇71例(4.3%)、便秘53例(3.2%)、尿中β2ミクログロブリン増加41例(2.5%)、体重減少39例(2.3%)であった。(承認時:2014年1月)
重大な副作用
1. 低血糖
他の糖尿病用薬(特にスルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤)との併用で低血糖があらわれることがある。また、他の糖尿病用薬と併用しない場合も低血糖が報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。(「臨床成績」の項参照)