消化管出血、悪心・嘔吐、食欲不振、口内炎、下痢、腹痛、食道炎、胃炎
6. 皮膚
頻度不明
肝動脈内投与時(発赤、紅斑、びらん、潰瘍等の皮膚障害、皮膚壊死)、高度の脱毛、色素沈着、そう痒症
7. 精神神経系
頻度不明
倦怠感、しびれ、疼痛、頭痛、耳痛・耳鳴、不眠、意識障害、知覚異常(口腔内異和感)
8. 泌尿器
頻度不明
膀胱刺激症状(頻尿、排尿痛、膀胱炎、血尿、蛋白尿、尿沈渣(赤血球数・白血球数増加)等)注1)、頻尿、血尿
9. 呼吸器
頻度不明
呼吸困難、気胸・血胸注2)
10. 注射部位
頻度不明
静脈内投与による血管痛、静脈炎、血栓
11. その他
頻度不明
ほてり、発熱、悪寒、顔面浮腫、血圧低下
注1)膀胱腔内注入療法による。
注2)類似化合物(ドキソルビシン塩酸塩)の投与により肺転移を有する症例の治療中にあらわれたとの報告がある。
高齢者への投与
高齢者では、用量に留意して患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
[高齢者では心毒性、骨髄抑制があらわれやすく、また本剤は主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。]
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1. 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
[動物実験(ラット)で胎児毒性が報告されており、またアントラサイクリン系の他の抗悪性腫瘍剤では、動物実験で催奇形性が報告されている。]
2. 授乳婦
授乳婦に投与する場合には授乳を中止させること。
[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。小児での副作用として主なものは、食欲不振、白血球減少、悪心等が報告されている。
適用上の注意
1. 調製時
冷所保存によりエピルビシン塩酸塩が自己会合を起こし、粘性が増すことがあるので、使用前20~30分間常温に放置するか、又はゆるやかに振り混ぜてから使用すること。
2. 投与経路
(1)
本剤は用法・用量にしたがって使用し、皮下、筋肉内投与はしないこと。
(2)
腹腔内に投与すると、腸管の癒着を起こすことがあるので、腹腔内投与はしないこと。
3. 配合変化
配合変化を起こす可能性があるので他の薬剤との混注を避けること。
4. 静脈内投与時
(1)
静脈内投与により血管痛、静脈炎、血栓を起こすことがあるので、注射部位、注射方法等に十分注意し、注射速度をできるだけ遅くすること。また、同一部位への反復投与により、血管の硬化を起こすことがある。
(2)
静脈内投与に際し薬液が血管外に漏れると、注射部位に疼痛、灼熱感、炎症、腫脹、壊死を起こすことがあるので、点滴の側管を利用する等、薬液が血管外に漏れないように投与すること。
5. 肝動脈内投与時
(1)
肝動脈内投与において、本剤が標的とする部位以外へ流入することにより、胃潰瘍、十二指腸潰瘍があらわれることがあるので、造影剤等によりカテーテルの先端位置、薬剤の分布領域をよく確認し、カテーテルの逸脱・移動、注入速度等に随時注意すること。なお、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(2)
肝動脈内投与により疼痛、発赤、紅斑、びらん、潰瘍等の皮膚障害があらわれ、皮膚壊死に至ることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の注意
1.
ラットの新生児に皮下投与した実験で、発癌性がみられたとの報告がある。
2.
本剤の尿中排泄により尿が赤色になることがある。
3.
細菌等に対する突然変異誘起性が認められている。
薬効薬理
1.
腫瘍細胞のDNAと複合体を形成してDNA polymerase反応及びRNA polymerase反応を阻害し、DNA及びRNAの生合成を抑制することで抗腫瘍効果を発揮する。1)
2.
移植がんに広い抗がんスペクトルを有し、Leukemia L1210、Leukemia P388、B-16 melanoma、Colon 38、C3H乳がん、Hepatoma AH-13、吉田肉腫等に強い抗腫瘍効果を示す。1)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
エピルビシン塩酸塩(Epirubicin Hydrochloride)
化学名
(2S,4S)-4-(3-Amino-2,3,6-trideoxy-α-L-arabino-hexopyranosyloxy)-2,5,12-trihydroxy-2-hydroxyacetyl-7-methoxy-1,2,3,4-tetrahydrotetracene-6,11-dione monohydrochloride
分子式
C27H29NO11・HCl
分子量
579.98
構造式
性状
エピルビシン塩酸塩は、微帯黄赤色~帯褐赤色の粉末である。
水又はメタノールにやや溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
エピルビシン塩酸塩は吸湿性である。
取扱い上の注意
1.
本剤には、21G又はそれより細い針を使用して下さい。太い針を使用すると、ゴム栓コアが発生する可能性が高くなります。また、同一ヶ所に複数回刺した場合にも、ゴム栓コアが発生する可能性が高くなります。
2. 安定性試験
最終包装製品を用いた長期保存試験(2~8℃、2年)の結果、エピルビシン塩酸塩注射液10mg/5mL「NK」及びエピルビシン塩酸塩注射液50mg/25mL「NK」は市場流通下(2~8℃)において2年間安定であることが確認された。2)
包装
エピルビシン塩酸塩注射液10mg/5mL「NK」:5バイアル
エピルビシン塩酸塩注射液50mg/25mL「NK」:1バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
第十五改正日本薬局方解説書 C-710
2)
日本化薬株式会社 社内資料:安定性試験
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
日本化薬株式会社 医薬事業本部
営業本部 学術情報部 医薬品情報センター
(住所)〒102-8172 東京都千代田区富士見一丁目11番2号
(TEL)0120-505-282(フリーダイヤル)
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