;18.5ng・h/mL
(7例、平均値±標準偏差)
臨床成績
1.
臨床効果6~11)
本態性高血圧症、腎障害を伴う高血圧症、重症高血圧症の各患者を対象に、1日20mgまでの用量を、一般臨床試験では主として4~10週間、二重盲検比較対照試験では12週間経口投与した臨床試験において、降圧効果が評価された642例の高血圧症のタイプ別有効率は表2のとおりである。
また、本態性高血圧症(軽・中等症)患者を対象に1年間経口投与した長期投与試験における「下降」以上の有効率は84.5%(155例中131例)である。
なお、本態性高血圧症(軽・中等症)患者を対象とした二重盲検比較対照試験の結果、本剤の有用性が認められている。
2.
高齢者への投与6~11)
本剤が投与された高齢者(70歳以上)における「下降」以上の有効率は72.3%(47例中34例)であり、また、臨床検査値の異常を含む副作用は3,250例中76例(2.3%)に認められている(再審査終了時点)。
表2 高血圧症のタイプ別有効率
高血圧症のタイプ 例数 下降以上注4)例数(有効率%)
本態性高血圧症(軽・中等症) 536 432(80.6)
腎障害を伴う高血圧症 51 39(76.5)
重症高血圧症 55 47(85.5)
計 642 518(80.7)
注4)下降以上:「著明下降」+「下降」
「著明下降」:収縮期血圧(-30mmHg以上)及び拡張期血圧(-15mmHg以上)を満たす場合、あるいは、平均血圧(-20mmHg以上)を満たす場合
「下降」:収縮期血圧(-29~-20mmHg)及び拡張期血圧(-14~-10mmHg)を満たす場合、あるいは、平均血圧(-19~-13mmHg)を満たす場合
薬効薬理
1. 降圧作用機序
本剤の降圧作用は、主として血管平滑筋における膜電位依存性カルシウムチャネルに作用してCa2+流入を抑制して、血管平滑筋を弛緩し、血管を拡張することによりもたらされると考えられる。
(1) リセプターに対する結合性12)
ラット心筋膜標本において[3H]-ニトレンジピンのリセプターへの結合を著明に抑制し、その抑制作用は標本洗浄後も持続している(in vitro)。
このことから膜電位依存性カルシウムチャネルのリセプターに高い結合性を有するものと推定される。
(2) カルシウム拮抗作用13~14)
家兎肺動脈標本においてカルシウムイオン電流に対する選択的かつ持続性の抑制作用を示し、また、家兎大動脈標本における45Ca2+の細胞内への流入を抑制する(in vitro)。このことからカルシウムチャネルをブロックする作用を有することが示唆される。
(3) 心臓及び血管に対する作用
高血圧症患者(成人)における心血行動態に対し、総末梢血管抵抗のみを有意に減少させており、これが主要な降圧機序と考えられ、一方、心機能には殆ど影響を及ぼしていない。15)
2. 降圧作用
(1)
高血圧症患者(成人)における血圧日内変動試験で、1日1回の経口投与によりいずれの測定時点でも有意な血圧低下が認められており、終日安定した降圧効果が得られることが示されている。16)
(2)
高血圧症患者(成人)における24時間血圧モニター試験で、1日1回の経口投与により24時間持続する降圧効果が認められているが、夜間の降圧度は小さい。17)
3. 腎血行動態に対する作用
高血圧症患者(成人)における腎循環に対し、腎血管抵抗を減少させ、腎灌流圧の低下にもかかわらず腎血流量及び糸球体濾過値を軽度ながら有意に増加させる。18)
有効成分に関する理化学的知見
*化学構造式
一般名
マニジピン塩酸塩(Manidipine Hydrochloride)〔JAN〕
*化学名
3-{2-[4-(Diphenylmethyl)piperazin-1-yl]ethyl}5-methyl(4RS)-2,6-dimethyl-4-(3-nitrophenyl)-1,4-dihydropyridine-3,5-dicarboxylate dihydrochloride
分子式
C35H38N4O6・2HCl
分子量
683.62
融点
約207℃(分解)
*性状
マニジピン塩酸塩は白色~微黄色の結晶又は結晶性の粉末である。ジメチルスルホキシドに溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。ジメチルスルホキシド溶液(1→100)は旋光性を示さない。光によりわずかに帯褐黄白色になる。
包装
錠5 : 100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)
錠10 : 100錠(10錠×10)、500錠(バラ、10錠×50)、700錠(14錠×50)、1,000錠(10錠×100)
錠20 : 100錠(10錠×10)、500錠(バラ、10錠×50)、700錠(14錠×50)、1,000錠(10錠×100)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Morseth,S.L.et al.: 薬理と治療,17(Suppl.4): 1101,1119,1141,1151,1989.
2)
吉田清志 他 : ibid.,17(5): 2083,1989.
3)
鈴木 伸 他 : 臨床医薬,6(6): 1089,1990.
4)
小野山薫 他 : 臨牀と研究,66(12): 3944,1989.
5)
鈴木 伸 他 : 基礎と臨床,23(13): 5043,1989.
6)
荒川規矩男 他 : 薬理と治療,17(6): 2681,1989.
7)
金子好宏 他 : 医学のあゆみ,151(8): 471,1989.
8)
国府達郎 他 : 薬理と治療,17(9): 4415,1989.
9)
金子好宏 他 : 基礎と臨床,23(12): 4577,1989.
10)
小野山薫 他 : 臨牀と研究,66(9): 2934,1989.
11)
荻原俊男 他 : 基礎と臨床,23(13): 5055,1989.
12)
永岡明伸 他 : 薬理と治療,18(7): 2523,1990.
13)
Okabe,K.et al.: J.Pharmacol.Exp.Ther.,243(2): 703