血液
0.1%未満
貧血,白血球減少,血小板減少
その他
0.1%未満
浮腫,ほてり,胸部圧迫感,味覚異常,頻尿
高齢者への投与
高齢者等忍容性の低下が懸念される患者に対しては低用量(1回50mg)から投与を開始し,経過を十分に観察しながら慎重に投与すること.
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと.[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.]
2.
授乳中の婦人には投与しないことが望ましい.[動物実験(授乳ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている.]
小児等への投与
低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない).
適用上の注
1. 薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること.[PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている.]
2. 服用時
本剤は舌の上で唾液を浸潤させた後,舌で軽くつぶし,崩壊後唾液のみで服用可能である.また,水で服用することもできる.
その他の注意
外国での健康成人を対象としたコレスチラミン製剤との併用試験において,本剤の効果(特に食後インスリン値の上昇の抑制)が増強されたとの報告がある.コレスチラミン製剤は本剤の作用に影響を及ぼすおそれがあるので併用しないことが望ましい.
薬物動態
血中濃度
健康成人に100mgを単回経口投与した場合,未変化体及び活性代謝物の血中濃度はほとんどの測定時点で検出限界(3ng/mL)以下である1).
代謝
健康成人に経口投与した場合,投与量の一部は腸内細菌により加水分解を受け代謝される.ごく一部吸収されるアカルボースはほとんど代謝されず,尿中には主代謝物として加水分解物由来である4-methylpyrogallolの硫酸及びグルクロン酸抱合体が認められる(参考:外国人)2).
排泄
健康成人に300mgを経口投与した場合,未変化体及び活性代謝物の尿中への排泄は投与後24時間でほぼ完了しており,尿中排泄率は投与後24時間で0.20%,72時間では0.21%である1).
また,健康成人に14C-アカルボース200mgを経口投与した場合,投与後96時間以内に投与放射能の35.4%が尿中に,51.3%が糞中に排泄される(参考:外国人)3).
(注:本剤の承認用量は1回100mg,1日3回である.)
〈参考〉
分布
ラットに経口投与した試験では,腎,副腎,次いで肝で高く,その他の臓器,組織ではいずれも血漿とほぼ同程度又はそれ以下である.なお,授乳ラットに経口投与した試験では,乳汁中に高濃度に移行するのが認められる4).
臨床成績
単独療法
インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)患者を対象に実施した二種の臨床試験では,プラセボとの比較試験により有用性が認められている5, 6).
併用療法
SU剤
NIDDM患者158例中,食後血糖改善度を基準に判定した場合,中等度改善以上は58例(36.7%)である7, 8).
インスリン製剤
NIDDM患者63例及びインスリン依存型糖尿病(IDDM)患者18例の計81例中,同様に判定した場合,中等度改善以上は39例(48.1%)である9).
さらにSU剤若しくはインスリン製剤との長期投与試験(投与期間6ヵ月以上)では効果の持続が確認され,安定した血糖コントロールが得られている10, 11).
薬効薬理
アカルボースは小腸粘膜微絨毛膜に存在するグルコアミラーゼ,スクラーゼ,マルターゼを用量依存的に阻害するほか,膵液及び唾液のα-アミラーゼを阻害し,食後の著しい血糖上昇を抑制する12, 13).
●炭水化物(デンプン,マルトース,スクロース等)のα-グルコシダーゼによる加水分解を阻害し,消化管でのグルコース,フルクトースへの分解を直接抑制することにより糖質の吸収を遅延させる.
●食後の過血糖を改善するとともに,血糖の日内変動幅を小さくし,良好な血糖コントロールが得られる.
●食後の血糖上昇を抑制するに伴い,インスリンの上昇も抑制するので高インスリン血症を招かない.また本剤によるインスリン分泌に対する直接作用がないので,膵β細胞の負担を軽減する.
1. 血糖値に対する作用
●健康成人10例に50mg,100mg,200mgをスクロースとともに単回経口投与した場合,負荷後の血糖上昇,血清インスリン上昇は用量依存的に抑制される14).
●健康成人7例に50mg,100mg,200mgを食事とともに単回経口投与した場合,食後の血糖上昇,血清インスリン上昇は用量依存的に抑制される15).
●健康成人5例に100mgを1日3回食事とともに21日間経口投与し,この間に行ったデンプン負荷試験では負荷後の血糖上昇,血清インスリン上昇は有意に抑制される.なお,投与前及び投与終了後のデンプン負荷試験では負荷後の血糖上昇の抑制等は認められない16).
●NIDDM患者12例に100mgを1日3回,毎食事とともに3ヵ月間経口投与した場合,空腹時血糖は有意に低下する17).
(注:本剤の承認用量は1回100mg,1日3回である.)
2. 血糖日内変動に対する作用
NIDDM患者19例に50mg又は100mgを1日3回毎食事とともに2週間経口投与した場合,血糖日内変動曲線は下方移動し,血糖日内変動曲線下面積は用量依存的に低下する18).
3. グリコヘモグロビン(HbA1)に対する作用
NIDDM患者12例に100mgを1日3回,毎食事とともに3ヵ月間経口投与した場合,HbA1は有意に低下する17).
4. 生物学的同等性
健康成人男子に本剤とグルコバイ錠を単回経口投与したクロスオーバー試験(50mg錠及び100mg錠でそれぞれ実施)で,投与方法(水なし又は水で服用)に関らずスクロース負荷後の血漿グルコース濃度上昇抑制効果に差は認められていない.
有効成分に関する理化学的知見
構造式
一般名
アカルボース(Acarbose)JAN,(Acarbose INN)
化学名
O-4,6-Dideoxy-4-[[(1S,4R,5S,6S)-4,5,6-trihydroxy-3-(hydroxymethyl)-2-cyclohexene-1-yl]amino]-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-O-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-D-glucopyranose
分子式
C25H4