100mgを1日1回反復経口投与したときの血漿中シメプレビルの薬物動態パラメータ(母集団薬物動態解析による推定値)を表2に示す。C型慢性肝炎患者の血漿中シメプレビルの曝露量は健康成人に本剤100mgを1日1回反復経口投与したときの曝露量(C0h:0.308μg/mL、Cmax:1.66μg/mL、AUC24h:17.3μg・h/mL)と比較して高かった。
(3) 肝機能障害患者における薬物動態(外国人成績)16)
中等度肝機能障害患者(Child-PughスコアB、8例)及び高度肝機能障害患者(Child-PughスコアC、8例)に本剤150mgを1日1回反復経口投与したとき、血漿中シメプレビルの平均Cmax及びAUC24hは、肝機能正常被験者(8例)と比較して中等度肝機能障害患者でそれぞれ1.71倍及び2.44倍、高度肝機能障害患者でそれぞれ3.13倍及び5.22倍高かった。
(表3参照)
(4) 腎機能障害患者における薬物動態(外国人成績)17)
高度腎機能障害患者(eGFR≦29mL/min/1.73m2、8例)に本剤150mgを1日1回反復経口投与したとき、血漿中シメプレビルの平均Cmax及びAUC24hは、腎機能正常被験者(eGFR≧80mL/min/1.73m2、8例)と比較してそれぞれ1.34倍及び1.62倍高かった。
(表4参照)
(5) 日本人と外国人の比較18)~20)
日本人C型慢性肝炎患者(12例)に本剤100mgを1日1回反復経口投与したときの血漿中シメプレビルの平均Cmax及びAUC24hは、外国人C型慢性肝炎患者(22~26例)に本剤150mgを1日1回反復経口投与したときと同程度であった。
(表5参照)
2. 血漿蛋白結合21)~23)
シメプレビルの血漿蛋白結合率は99.9%より大きく、主にアルブミンに結合した(平衡透析法)。また、アルブミンより結合率は低いがα1酸性糖蛋白にも結合した。腎機能障害患者及び肝機能障害患者から得た血漿を用いたシメプレビルの血漿蛋白結合率は、健康成人から得た血漿を用いたときと同様であった。
3. 代謝(in vitro及び外国人成績)24)、25)
ヒト肝ミクロソーム及びヒトCYP発現系を用いたin vitro試験で、シメプレビルは主にCYP3Aにより代謝され、CYP2C8及びCYP2C19も代謝に関与することが示唆された。
健康成人(6例)に14C標識シメプレビル200mgを単回経口投与したとき、大部分(AUClastの未変化体/総放射能比:83%)が未変化体として血漿中に存在し、代謝物がわずかに検出された。
シメプレビルの主要な代謝経路は大環状の酸化、芳香族の酸化及び大環状と芳香族両方の酸化並びにO-脱メチル化であった。
4. 排泄(外国人成績)25)
健康成人(6例)に14C標識シメプレビル200mgを単回経口投与したとき、総放射能の91%(平均値)が糞中から回収され、尿中回収率は1%未満であった。糞中に回収されたシメプレビルの未変化体は、投与量の31%(平均値)であった。
5. 相互作用(in vitro及び外国人成績)
(1) In vitro試験成績26)~32)
ヒト肝細胞を用いたin vitro試験で、シメプレビルはCYP1A2及びCYP3A4を誘導しなかった。また肝ミクロソームを用いたin vitro試験で、シメプレビルはCYP2A6、CYP2C8及びCYP2D6を中等度(IC50:>32μg/mL)、CYP2C19及びCYP3Aを軽度(IC50:>64μg/mL)阻害した。ヒト肝細胞又はヒト薬物トランスポーター発現系を用いたin vitro試験で、シメプレビルはP-gp、MRP2、BCRP、OATP1B1、OATP1B3及びOATP2B1の基質であることが示された。また、シメプレビルは肝取り込みトランスポーターのOATP1B1及びNTCP並びに薬物排出トランスポーターのP-gp、MRP2及びBSEPを阻害した。
(2) 臨床成績
日本人又は外国人C型慢性肝炎患者を対象とした試験において、シメプレビルとペグインターフェロン アルファ-2a(遺伝子組換え)及びリバビリンとの間に薬物動態学的相互作用は認められなかった。
外国人を対象とした薬物相互作用試験の結果を表6及び表7に示す。
6. QT/QTc間隔に対する影響(外国人成績)38)
外国人健康成人(60例)に本剤150mg及び350mgを1日1回7日間反復経口投与したとき、いずれの用量でもQTc間隔(Fridericia法)に対し有意な影響を及ぼさなかった。
表1 健康成人に本剤100mgを空腹時及び食後に単回経口投与したときの血漿中シメプレビルの薬物動態パラメータ[平均値(標準偏差)]
薬物動態パラメータ 空腹時投与 食後投与 最小二乗平均比a)
(90%信頼区間)
23例 23例
Cmax(μg/mL) 1.08(0.52) 1.02(0.33) 1.02(0.87-1.19)
tmax(h) 6.0[4.0-8.0] 6.0[4.0-8.0]
AUC∞(μg・h/mL) 11.9(7.15) 10.6(4.31) 0.97(0.84-1.12)
t1/2(h) 8.56(1.38) 8.38(1.35)
tmax:中央値[範囲]
a)空腹時投与/食後投与
表2 C型慢性肝炎患者にペグインターフェロン アルファ-2a又は2b及びリバビリンと本剤100mgを1日1回反復経口投与したときの血漿中シメプレビルの薬物動態パラメータ推定値[平均値(標準偏差)]
薬物動態パラメータ 初回治療患者 前治療再燃患者 前治療無効患者
ペグインターフェロン アルファ-2a
123例 49例 53例
C0h(μg/mL) 1.58(1.72) 2.67(2.45) 2.26(1.99)
Cmax(μg/mL) 3.15(1.76) 4.26(2.48) 3.86(2.01)
AUC24h(μg・h/mL) 55.8(42.8) 82.8(59.9) 73.1(48.8)
ペグインターフェロン アルファ-2b
24例 2