背部痛、筋骨格硬直
全身・投与局所 発熱、倦怠感 胸部不快感、胸痛、熱感、疼痛、体重減少
臨床検査 ALT(GPT)増加、AST(GOT)増加、アルブミン減少、カリウム増加、LDH増加、CRP増加、Al-P増加 カリウム減少、BUN増加、Ht減少、Hb減少、白血球数増加、血小板数増加
注1:国内外の公表論文に基づく副作用については頻度不明とした。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。〕
2. 授乳中の婦人に投与する場合には授乳を中止させること。〔授乳中の投与に関する安全性は確立していない。〕
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。〔使用経験がない。〕
過量投与
1. 症状 10gを超えるタルクを投与した場合に、急性呼吸不全(急性呼吸窮迫症候群等)の発現率が高くなることが報告されている1)。
2. 処置 過剰に投与された本剤は日局生理食塩液による洗浄によって部分的に除去することが可能である。
適用上の注意
1. 投与(注入)経路 本剤は胸膜腔内注入のみに使用し、他のいかなる注射経路(静脈内、筋肉内、皮下、皮内等)にも投与しないこと。また、本剤を懸濁液としないで直接胸膜腔内に噴霧する方法では、使用しないこと。
2. 調製方法 本剤の使用にあたっては、「取扱い方法」を熟読すること。
3. 投与(注入)方法 懸濁液の吸引及び注入には、添付の採液針及びシリンジを用いること。
(1) 注入前・十分な胸水のドレナージを行い、十分な肺の再膨張を認めた後に本剤を胸膜腔内に注入すること。
・胸水のドレナージには、薬液注入用の側管付き胸部排液用カテーテルを用いること。
(2) 注入時・本剤の懸濁液は、注入直前によく振とうし、本剤の粒子を分散させること。
・懸濁液を胸膜腔内に緩徐に注入すること。
(3) 注入後・カテーテルの薬液注入用の側管より、懸濁液注入と同じ注入速度で、日局生理食塩液50mLを用いてフラッシュし、カテーテルをクランプすること。
・クランプ後、懸濁液を胸膜腔内に行き渡らせるように、可能な姿勢の範囲で15分毎に、クランプを外すまで患者の体位を変換することが望ましい。
・注入2時間後にクランプを開放し、低圧持続吸引器を用いて陰圧(目安:-10cmH2O)で胸水を持続吸引し、1日の排液量が150mL以下(目安)になったら抜管すること。
・バイアルは1回限りの使用とし、使用後は廃棄すること。
その他の注意
コルチコステロイドを全身投与されている患者では、胸膜癒着が起こりにくいことが報告されている2)。
薬物動態
ヒトでの本剤の薬物動態は不明である。
(参考)ラットに本剤を400mg/kg左側胸膜腔内に投与したとき、投与後1及び7日にタルク粒子の大部分は胸膜腔内に残留し、胸腔内臓器(投与側及び反対側の肺及び胸壁、心臓並びに横隔膜)への分布が認められた。タルク粒子は脳、肝臓、脾臓、腎臓、膵臓及び血液中には認められず、また尿及び糞中への排泄は認められなかった3)。
イヌに本剤を200及び800mg/kg左側胸膜腔内に投与したとき、投与後28日にタルク粒子の大部分は胸膜腔内に残留し、投与側及び反対側の肺に分布が認められた。投与後28日の肝臓、腎臓及び投与後1日の血液中にはタルク粒子は認められなかった4)。
臨床成績
国内第II相試験 悪性胸水が貯留した患者30例を対象として、胸水を排液した後、本剤4gの懸濁液を胸膜腔内に注入した。本剤注入後30日(又は中止時)に30例中25例(83.3%)で悪性胸水の再貯留の抑制が認められた5)。
薬効薬理
1. 胸膜癒着作用 ラット、ウサギ及びイヌの胸膜腔内にタルクを投与することにより、胸膜癒着作用が認められた6~8)。
2. 作用機序 タルクが胸膜癒着を惹起する作用機序は十分に解明されていないが、タルク投与による胸膜腔内の炎症状態が誘因となり、胸水中にTGF-β、TNF-α、IL-1、IL-8等が分泌され、コラーゲン線維が形成されることにより臓側胸膜と壁側胸膜の癒着が起こると考えられている9~11)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名タルク、Talc
性状 タルクは粉砕、選別した天然含水ケイ酸マグネシウムである。純粋なタルクは、Mg3Si4O10(OH)2(分子量:379.27)である。タルクは白色~灰白色の微細な結晶性の粉末で、なめらかな触感があり、皮膚につきやすい。水又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。
包装
ユニタルク胸膜腔内注入用懸濁剤4g:1バイアル
〔添付:採液針注21個及びシリンジ注31個〕
注2:ツートック(医療機器届出番号:27B1X00045000021)
注3:ニプロシリンジ(医療機器届出番号:27B1X00045000033)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1) Sahn SA.:J Bronchology 2002;9(3):223-227
2) Roberts ME, et al.:Thorax 2010;65(Suppl 2):ii32-ii40
3) 社内資料:ラットの組織中分布・排泄試験
4) 社内資料:イヌの組織中分布試験
5) 社内資料:悪性胸水に対する臨床試験
6) 社内資料:ラットの単回胸膜腔内投与毒性試験
7) 社内資料:イヌの単回胸膜腔内投与毒性試験
8) Light RW, et al.:Chest 1995;107(6):1702-1706
9) Genofre EH, et al.:Lung 2005;183:197-207
10) Marchi E, et al.:Chest 2004;125(6):2268-2277
11) Acencio MMP, et al.:Lung 2007;185:343-348