場合は、四肢の挙上、輸液の投与等、心血管系に対する処置を行う。症状が改善しない場合は、循環血液量及び排尿量に注意しながら昇圧剤の投与を考慮する。
(2)
催吐、活性炭投与又は胃洗浄:アムロジピン服用直後に活性炭を投与した場合、アムロジピンのAUCは99%減少し、服用2時間後では49%減少したことから、アムロジピン過量投与時の吸収抑制処置として活性炭投与が有効であると報告されている2)。
注意:
イルベサルタン及びアムロジピンは蛋白結合率が高いため、血液透析による除去は有効ではない。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
〔PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。〕
その他の注意
因果関係は明らかではないが、アムロジピンによる治療中に心筋梗塞や不整脈(心室性頻拍を含む)がみられたとの報告がある。
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 生物学的同等性
健康成人男性24例にイルベサルタン/アムロジピン100mg/10mgを配合錠又は単剤併用にて空腹時単回経口投与した場合の血漿中イルベサルタン及び血清中アムロジピンの薬物動態は以下の図及び表1のとおりであった。イルベサルタン及びアムロジピンの薬物動態を配合錠と単剤併用で比較した結果、両成分とも生物学的に同等であった3)。
(表1参照)
(2) 食事の影響
健康成人男性16例にイルベサルタン/アムロジピン100mg/10mg配合錠を単回経口投与(空腹時又は食後)した場合、空腹時投与と比べて食後投与のイルベサルタン及びアムロジピンのCmax及びAUCに差はみられなかった4)。
(3) 配合剤有効成分間の相互作用
健康成人男性(外国人)24例にイルベサルタン300mg(承認外用量)及びアムロジピンとして10mgを併用して経口単回投与した場合のイルベサルタンとアムロジピンの薬物動態は各単剤投与後と差はなく、イルベサルタンとアムロジピンの間に薬物動態に関する相互作用は認められなかった5)。
(4) 腎機能障害患者
軽・中等度(9例)、高度(10例)の腎機能障害患者(外国人)にイルベサルタン100mgを1日1回8日間反復経口投与した場合、腎機能正常者と比較してCmax、AUCに有意な差はみられなかった。血液透析中の患者を含め、腎機能障害患者に投与した場合にも蓄積傾向はほとんどないことが示唆された6)。
(5) 肝機能障害患者
軽・中等度の肝硬変患者(外国人)10例に、イルベサルタン300mg(承認外用量)を空腹時1日1回7日間反復経口投与した場合、健康成人と比較して、Cmax、AUCに有意な差はみられなかった。また蓄積傾向がほとんどないことも示唆された7)。
肝硬変患者(Child A, Bクラス)5例にアムロジピンとして2.5mgを単回経口投与した場合、健康成人に比較して、Tmax、Cmaxにはほとんど差が認められなかったが、T1/2の延長、AUCの増大が認められた8)。
(6) 高齢者
高齢者(外国人、65~80歳、男性10例、女性10例)と若年者(外国人、18~35歳、男性10例)にイルベサルタン25mgを1日1回反復経口投与した場合、Cmaxに有意な差はみられなかったが、AUCは若年者と比べて50~68%上昇することが示された9)。
老年高血圧患者(平均年齢79.7歳)6例にアムロジピンとして5mgを単回、及び8日間連続投与した場合、若年健康成人に比較して、Cmax及びAUCは有意に高値であった10)。
2. 蛋白結合率
イルベサルタンのヒト血清蛋白結合率及びアムロジピンのヒト血漿蛋白結合率はいずれも約97%であった。
3. 代謝
イルベサルタンは、主としてCYP2C9による酸化的代謝とグルクロン酸抱合により代謝される。ヒト肝ミクロソームを用いて、CYP活性に対するイルベサルタンの阻害作用について検討した結果、CYP1A2、CYP2D6及びCYP2E1に対しては阻害せず、CYP2A6、CYP2C8、CYP2C9及びCYP3A4に対して阻害作用が認められたものの、いずれも阻害の程度は弱かった11-13)。
アムロジピンの代謝には主としてCYP3A4が関与していると考えられている。
4. 排泄
健康成人においてイルベサルタンの未変化体尿中排泄率は約0.3~1.3%であった。また、健康成人(外国人)に14C-標識イルベサルタンを経口投与した場合、放射能の約20%は尿中に排泄され、約54%は糞中に排泄された14)。
健康成人にアムロジピンとして2.5mg又は5mgを単回経口投与した場合、尿中に未変化体として排泄される割合は小さく、いずれの投与量においても尿中未変化体排泄率は投与後24時間までに投与量の約3%、144時間までに約8%であった15) 。主たる尿中代謝物はジヒドロピリジン環の酸化したピリジン環体及びその酸化的脱アミノ体であった。
また、健康成人(外国人)2例に14C-標識アムロジピン15mg(承認外用量)を単回経口投与した場合、投与後12日までに投与放射能の59.3%が尿中に23.4%が糞中に排泄され、投与後72時間までの尿中放射能の9%が未変化体であった16)。
表1.血中濃度 生物学的同等性
イルベサルタン
配合錠 イルベサルタン
単剤併用 アムロジピン
配合錠 アムロジピン
単剤併用
Cmax
(ng/mL) 2,115.9
±621.4 2,010.4
±524.6 5.29
±0.92 5.26
±0.72
AUC0-t
(ng・hr/mL) 8,635.8
±2,768.4 8,426.4
±2,233.0 197.19
±34.24 198.58
±38.25
Tmax
(hr) 1.31
±0.64 1.35
±0.74 6.3
±1.1 5.9
±0.9
T1/2
(hr) 11.145
±3.810 9.437
±2.413 37.72
±5.90 38.72
±7.34
平均値±標準偏差、n=24
AUC0-t:イルベサルタンは0~48時間値、アムロジピンは0~96時間値
臨