び100%(19/19例)、寛解した患者のうち投与24週後及び投与48週後の時点で再燃がみられなかった患者の割合はそれぞれ77.8%(14/18例)及び84.2%(16/19例)であった。また、初回投与後14日以内に炎症マーカーであるCRP及び血清アミロイドA蛋白(SAA)の低下がみられた。3)
#、##:〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉「十分な臨床的効果がみられない場合の漸増方法」の脚注参照
2. 海外臨床試験
(1) *クリオピリン関連周期性症候群(A2102試験)
NALP3(NLRP3)変異を有するクリオピリン関連周期性症候群患者34例(4~17歳の患者7例を含む)を対象に、初回投与時及び再燃時に16歳未満の患者(5例)には本剤1回2mg/kg、16歳以上の患者には本剤1回150mgを皮下投与した。その結果、16歳未満の患者では初回投与後2~8日以内に5例全例、16歳以上の患者では初回投与後2~9日以内に96.6%(28/29例)の患者が寛解した。また、初回投与後1週間以内にCRP及びSAAの低下がみられた。2)
(2) *クリオピリン関連周期性症候群(D2306試験)
本剤による治療未経験のクリオピリン関連周期性症候群患者109例(3~17歳の患者38例を含む)、A2102及びD2304試験からの移行例57例(5~17歳の患者9例を含む)、計166例を対象に実施した。治療未経験例には初回用量として体重40kg以下の患者には本剤1回2mg/kg、体重40kgを超える患者には本剤1回150mgを8週毎に皮下投与し、再燃がみられた場合には1回最高用量として本剤8mg/kg又は600mgまで漸増し、6ヵ月~最長2年間投与した。その結果、試験全体では投与終了時までに再燃が一度もみられなかった患者の割合は76.5%(127/166例)であった。また、治療未経験例では78.0%(85/109例)の患者が初回投与後21日以内に寛解した。4)
(3) マックル・ウェルズ症候群(D2304試験)
マックル・ウェルズ症候群患者35例を対象とし、全例に初回用量として体重15~40kgの患者には本剤1回2mg/kg、体重40kgを超える患者には本剤1回150mgを皮下投与した。この初回投与で寛解した患者に対して、8週後以降は体重15~40kgの患者には本剤1回2mg/kg又はプラセボ、体重40kgを超える患者には本剤1回150mg又はプラセボを8週毎に再燃がみられるまで投与し(二重盲検期:最大24週間)、再燃後又は24週経過後は全例に体重15~40kgの患者には本剤1回2mg/kg、体重40kgを超える患者には本剤1回150mgを8週毎に投与した。その結果、初回投与後8週以内に97.1%(34/35例)の患者が寛解した。二重盲検期の24週以内に本剤投与群全例(15例)で再燃がみられなかったのに対し、プラセボ投与群では81.3%(13/16例)で再燃がみられた。24週後以降も投与を継続した31例中、再燃がみられたのは1例であった。また、初回投与後8日以内にCRP及びSAAの低下がみられた。5)
薬効薬理
カナキヌマブ(遺伝子組換え)は、ヒトIL-1βに対する遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体である。ヒトIL-1βに結合し、IL-1βが受容体に結合することを阻害することにより、その活性を中和する。
(1) IL-1β阻害作用
カナキヌマブ(遺伝子組換え)は、ヒトIL-1βに結合(解離定数:約40pM)し、ヒトIL-1βとヒトIL-1受容体との結合を阻害した。6,7)
(2) in vitroにおける薬理活性
カナキヌマブ(遺伝子組換え)は、ヒトIL-1βによるヒト皮膚線維芽細胞からのIL-6産生及びヒト黒色腫細胞におけるIL-8のプロモーター活性を抑制した。8,9)
(3) in vivoにおける薬理活性
カナキヌマブ(遺伝子組換え)は、ヒトIL-1β誘発マウス関節炎の腫脹を単回腹腔内投与で抑制した。10)また、ヒトIL-1βで誘発されるマウス空気嚢への好中球浸潤を単回腹腔内投与で抑制した。11)更に、ヒトIL-1βにより誘発されるラットの発熱を単回静脈内投与で抑制した。12)
(4) その他の作用
カナキヌマブ(遺伝子組換え)は、in vitroでヒト混合リンパ球反応におけるT細胞増殖を阻害しなかった。13)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
カナキヌマブ(遺伝子組換え)
Canakinumab(Genetical Recombination)
分子量
約148,000
本質
ヒトIL-1βに対する遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体であり、マウスハイブリドーマ細胞Sp2/0-Ag14により産生される448個のアミノ酸残基からなる重鎖(C2196H3387N587O669S16;分子量:49,227.96)2分子及び214個のアミノ酸残基からなる軽鎖(C1030H1596N274O336S5;分子量:23,353.65)2分子で構成される糖蛋白質
承認条件
国内での治験症例が極めて限られていることから、再審査期間又は一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、本剤投与症例全例を登録して安全性及び有効性に関する製造販売後調査を実施すること。その中で、感染症等の発現を含めた長期投与時の安全性及び有効性について十分に検討すること。
包装
イラリス皮下注用150mg 1バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内資料:日本人健康成人男子を対象とした単回投与試験(A1101) 〔ILAU00001〕
2)
社内資料:外国人クリオピリン関連周期性症候群患者を対象とした第I/IIa相試験(A2102) 〔ILAU00002〕
3)
Imagawa,T.et al.:Clin.Exp.Rheumatol.(投稿中)
4)
Kuemmerle-Deschner,J.B.et al.:Ann.Rheum.Dis.70(12),2095,2011 〔ILAF00001〕
5)
Lachmann,H.J.et al.:New Engl.J.Med.360(23),2416,2009 〔ILAM00009〕
6)
社内資料:ヒトIL-1βに対する結合親和性 〔ILAU00003〕
7)
社内資料:ヒトIL-1βの受容体との結合に対する阻害作用 〔ILAU00004〕
8)
社内資料:ヒトIL-1βによるヒト皮膚線維芽細胞からのIL-6産生に対する抑制作用 〔ILAU00005〕
9)
社内資料:ヒトIL-1βによるヒト黒色腫細胞のIL-8プロモーター活性に対する