基本的注意
1.
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
2.
興奮、誇大性、敵意等の陽性症状を悪化させる可能性があるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
3.
本剤は肝酵素により代謝を受けやすく、血中濃度が大幅に上昇するおそれがあるため、CYP3A4を強く阻害する薬剤(アゾール系抗真菌剤、HIVプロテアーゼ阻害剤)を投与中の患者に本剤を投与しないこと(「相互作用」の項参照)。また、それ以外でも肝障害のある患者(「慎重投与」の項参照)、高齢者(「高齢者への投与」の項参照)、CYP3A4阻害作用を有する薬剤を併用している患者では、血中濃度が高くなる可能性があるので、観察を十分に行い慎重に投与すること。
4.
本剤の投与により血糖上昇が認められており、また、類薬において高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるとの報告があるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、特に糖尿病又はその既往歴あるいはその危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。〔「慎重投与」、「重大な副作用(類薬)」の項参照〕
5.
本剤の投与に際し、あらかじめ上記(4)の副作用が発現するおそれがあることを、患者及びその家族に十分説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の異常に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、医師の診察を受けるよう、指導すること。〔「慎重投与」、「重大な副作用(類薬)」の項参照〕
6.
抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者に投与する場合には注意すること。〔「重大な副作用」の項参照〕
相互作用
本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4 で代謝される。〔「薬物動態」の項参照〕
併用禁忌
(併用しないこと)
薬剤名等
アドレナリン(ボスミン)
臨床症状・措置方法
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。
機序・危険因子
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα- 受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。
薬剤名等
CYP3A4を強く阻害する薬剤
アゾール系抗真菌剤(外用剤を除く)
ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)
イトラコナゾール(イトリゾール)
等
HIVプロテアーゼ阻害剤
リトナビル(ノービア)
サキナビル(フォートベイス)
等
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性がある。外国において、ケトコナゾールとの併用により本剤のAUCが17倍、Cmaxが13倍に増加したとの報告がある。〔「薬物動態」の項参照〕
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
中枢神経抑制剤
アルコール
臨床症状・措置方法
相互に作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
機序・危険因子
本剤及びこれらの薬剤等の中枢神経抑制作用による。
薬剤名等
ドパミン作動薬
レボドパ製剤
ブロモクリプチン等
臨床症状・措置方法
相互に作用が減弱することがある。
機序・危険因子
本剤はドパミン受容体遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる。
薬剤名等
降圧薬
臨床症状・措置方法
降圧作用が増強することがある。
機序・危険因子
本剤及びこれらの薬剤の降圧作用による。
薬剤名等
エリスロマイシン
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて減量するなど慎重に投与すること。
機序・危険因子
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性がある。エリスロマイシンとの併用により本剤のAUCが2.7倍、Cmaxが2.4倍に増加したとの報告がある。〔「薬物動態」の項参照〕
薬剤名等
グレープフルーツジュース
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて減量するなど慎重に投与すること。
機序・危険因子
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性がある。グレープフルーツジュースとの併用により本剤のAUC、Cmaxが1.8倍に増加したとの報告がある。〔「薬物動態」の項参照〕
薬剤名等
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
クラリスロマイシン
シクロスポリン
ジルチアゼム等
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて減量するなど慎重に投与すること。
機序・危険因子
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性がある。
薬剤名等
CYP3A4誘導作用を有する薬剤
フェニトイン
カルバマゼピン
バルビツール酸誘導体
リファンピシン等
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を誘導するため、経口クリアランスが増加する可能性がある。
*、**副作用
副作用等発現状況の概要
承認時までの臨床試験において、891例中673例(75.5%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は振戦、運動緩慢、流涎過多等のパーキンソン症候群(35.0%)、アカシジア(24.1%)、不眠(22.4%)、プロラクチン上昇(19.6%)、ジスキネジア(14.0%)、眠気(11.8%)、不安・焦燥感・易刺激性(11.2%)等であった。
重大な副作用
1. 悪性症候群(Syndrome malin)(5%未満)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中